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冊子『EQクイックガイド』

『EQクイックガイド』とは

冊子『EQクイックガイド』大

EQクイックガイドとは、「感情にかしこい」とはどういうことか、感情的知能とはどのような能力なのか、その力を伸ばすにはどうすればよいのかをやさしく解説したガイドブックです。

目次

  • まえがき
  • 第 1 章 「EQが高い」とは
    • 「EQが高い」=「感情にかしこい」
    • そもそも「感情」とは何か?
    • 感情的知能が高い人が発揮している能力とは
    • 4つの感情能力
  • 第 2 章 感情的知能を支える「4つの感情能力」
    • 一瞬の間に働く4つの力
    • 能力1:気持ちを感じる
    • 能力2:気持ちをつくる
    • 能力3:気持ちを考える
    • 能力4:気持ちを活かす
  • 第 3 章 感情にかしこくなる
    • 感情能力を高め、発揮する
    • 感情と思考とは同時に働かない
    • 経験に学び、感情にかしこくなるためのCLAPサイクル
    • ステップ1:気持ちを思考に組み入れて選択する(Choose)
    • ステップ2:気持ちの動きを振り返る(Look back)
    • ステップ3:改善の余地を探る(Analyze)
    • ステップ4:能力を伸ばす計画を立てる(Plan)
    • ふたたび、気持ちを思考に組み入れる(Choose)
    • その他:気持ちを主役に据える、直観を鍛える

「まえがき」

まず、次のクイズを試してみてください。

午後5時にプロジェクトの進捗について打ち合わせに来るはずの部下Aは、5分遅れであなたの机にやってきた。いかにも意気消沈した様子である。聞けば、直前に別の顧客を訪問してきたのだが、そこで猛烈に怒られたとのこと。あなたはどうするか?

  1. 「私だって忙しいなか、君のために時間を取っているんだ。気持ちを切り替えろ!」と叱る
  2. 同情に値する事情があるので、今日は帰るよう促す
  3. すでに予定の時間は過ぎているので、すぐに進捗の報告を求める
  4. 4. その他(                    )
『EQクイックガイド』

1の行動は、自分の感情に飲み込まれてしまっています。「気持ちを切り替えろ」と叱って切り替えられる人ならば、Aさんはそもそも意気消沈したままあなたのところに現れないでしょう。

2の行動は、相手の感情に飲み込まれています。Aさんの様子にもよりますが、意気消沈するたびに帰宅させていては仕事になりません。

3の行動は、感情への配慮がありません。たしかに、今はプロジェクトについての報告のための時間なので、論理的な行動です。しかしこのままではAさんは報告に集中できず、結果として打ち合わせの目的も達成されないでしょう。

1〜3が最善の行動でないならば、4、つまり新しい選択肢をつくりださねばなりません。それができる人が、本書のめざす「感情にかしこい」人です。

購入情報

研修用に配布しています。

参考文献および注

〈参考文献〉

  • Caruso, D. R., & Salovey, P. (2004). The Emotionally Intelligent Manager. Jossey-Bass.
  • Ciarrochi, J., & Mayer, J. D. (2007). Applying Emotional Intelligence: A Practitioner’s Guide. Psychology Press.
  • EQジャパン. (2002). 職場の人間関係をよくするEQ入門―「こころの総合知能」を高める14のケーススタディ. オーエス出版.
  • Mayer, J. D., Salovey, P., & Caruso, D. R. (2004). Emotional Intelligence: Theory, Findings, and Implications. Psychological Inquiry, 15(3), 197-215.
  • Mayer, J. D., Salovey, P., & Caruso, D. R. (2008). Emotional Intelligence: New Ability or Eclectic Traits? American Psychologist, 63(6), 503-517.
  • Mayer, D. John, Roberts, D. Richard, Barsade, G. Sigal. (2008). Human Abilities: Emotional Intelligence. Annu. Rev. Psychol., 59, 507–36.
  • Mayer, D. John, Salovey, Peter, Caruso, R. David, Sitarenios, Gill. (2003). Measuring Emotional Intelligence With the MSCEIT V2.0. Emotion, 3(1), 97-105.
  • Nauert, R. (2007, 6 22). The Science of Mindfulness Meditation. Retrieved from Psych Central News: http://psychcentral.com/news/2007/06/22/the-science-of-mindfulness-meditation
  • Salovey, Peter, Mayer, D. John. (1990). Emotional Intelligence. Imagination, Cognition, and Personality, 9, 185-211.
  • Tomkins, S. S. (1962). Affect Imagery Consciousness: The Positive Affects. Springer Publishing.
  • Wikipedia. (2012, 8 27). Theory of multiple intelligences. Retrieved from Wikipedia: http://en.wikipedia.org/wiki/Theory_of_multiple_intelligences
  • コヴィー, R. スティーブン, スキナー, ジェームス. (1996). 7つの習慣―成功には原則があった! (川西 茂, 訳) キングベアー出版.
  • コヴィー, スティーブン R. (2012). 第3の案 成功者の選択. キングベアー出版.
  • ゴールマン, ダニエル. (1996). EQ こころの知能指数. (土屋京子, 訳) 講談社.
  • ゴールマン, ダニエル. (2005). EQが高業績リーダーをつくる. 著: ハーバード・ビジネス・レビュー編集部DIAMOND, EQを鍛える. ダイヤモンド社.
  • コルヴァン, ジョフ. (2010). 究極の鍛錬. (米田隆, 訳) サンマーク出版.
  • サロベイ, ピーター, カルーソ, R. デイビッド. (2004). EQマネージャー. (渡辺徹, 訳) 東洋経済新報社.
  • ゼックミスタ, B. E., ジョンソン, E. J. (1997). クリティカルシンキング・実践篇―あなたの思考をガイドするプラス50の原則. 北大路書房.
  • ダマシオ, R. アントニオ. (2005). 感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ. ダイヤモンド社.
  • ダマシオ, R. アントニオ. (2010). デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳. 筑摩書房.
  • デシ, エドワード L., フラスト, リチャード. (1999). 人を伸ばす力―内発と自律のすすめ. (桜井茂男, 訳) 新曜社.
  • 熊野, 宏昭. (2007). ストレスに負けない生活―心・身体・脳のセルフケア. 筑摩書房.
  • 高山, 直. (2003). EQ こころの鍛え方 行動を変え、成果を生み出す66の法則. 東洋経済新報社.
  • 寺, 正治. (2007). 感情とパーソナリティ. 著: 鈴木直人, 感情心理学 (朝倉心理学講座). 朝倉書店.
  • 地橋, 秀雄. (2008). 人生の流れを変える瞑想クイック・マニュアル―心をピュアにするヴィパッサナー瞑想入門. 春秋社.
  • 福田, 正治. (2003). 感情を知る―感情学入門. ナカニシヤ出版.

〈注〉

第 1 章

  1. [サロベイ カルーソ, 2004] より、「本書」を「EI理論」に置き換えたうえで引用。また下線は引用者によります。
  2. (Mayer, Salovey, & Caruso, 2008) は、Emotional Intelligence Theory(本書ではEI理論)の提唱者たちが、類似研究と比較しながらEI理論は何であって何でないかを解説している総説で、主要な論文もここから網羅することができます。
  3. [Mayer, Roberts, Barsade, Human Abilities: Emotional Intelligence, 2008]および (Mayer, Salovey, & Caruso, Emotional Intelligence: New Ability or Eclectic Traits?, 2008) からの翻案。
  4. [Salovey Mayer, 1990] より。
  5. 感情の定義や分類については、例えば [福田, 2003] を参照。
  6. [サロベイ カルーソ, 2004] より。
  7. [サロベイ カルーソ, 2004] より。
  8. [ダマシオ, デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳, 2010] より。
  9. (Mayer, Salovey, & Caruso, Emotional Intelligence: Theory, Findings, and Implications, 2004) より。
  10. たとえば(Ciarrochi & Mayer, 2007) の第一章および第三章。

第 2 章

  1. 表 1の内容は、(Caruso & Salovey, 2004) p215 “Emotional Intelligence Self-Study: Overview of the Four Skills of EI”からの編集・要約です。
  2. (Caruso & Salovey, 2004) p25〜26の記述を編集・要約。
  3. 表 2の内容は、(Caruso & Salovey, 2004) p215
  4. [サロベイ カルーソ, 2004] p47〜48から抜粋・引用。
  5. [コヴィー, 2012] より。
  6. 表 4の内容は、(Caruso & Salovey, 2004) p215
  7. [サロベイ カルーソ, 2004] p50から一部編集・翻案のうえ引用。
  8. 表 5の内容は、(Caruso & Salovey, 2004) p215
  9. 能力モデル/混合モデルという名称は、(Mayer, Salovey, & Caruso, 2008) による。混合モデルとは「いろいろな因子を一緒くたに測っている」という意味あいで、EI理論の提唱者らが命名した名称です。
  10. [ゴールマン, EQが高業績リーダーをつくる, 2005] より。
  11. 日本ではEQジャパン(現アドバンテッジリスクマネジメント)がゴールマンらの発想に近いかたちの行動特性検査(EQI)を実施しており、すでに25万人の受検実績があります。

第 3 章

  1. (Tomkins, 1962) より翻訳。この文章は (Caruso & Salovey, 2004) の本文の最後でも引用されています。
  2. たとえば [Mayer, Salovey, Caruso, Sitarenios, Measuring Emotional Intelligence With the MSCEIT V2.0, 2003]
  3. [熊野, 2007] より。
  4. [ゴールマン, 1996] より。
  5. [デシ フラスト, 1999] より。ここで「感情」と訳されている言葉は、原著では”emotion”。つまりゴールマンの「情動」と同じです。文脈からすると「情動」が正確な訳です。
  6. [高山, 2003] より。
  7. [地橋, 2008] より。
  8. (Nauert, 2007) より。
  9. この知見を裏付けるのが第 3 章 注3で引用した、 [熊野, 2007]によって紹介されている研究です。この実験によれば、計算問題を解いている(=認知的な活動をしている)間は腹側前帯状回の血流が落ちました。ここは情動が喚起されているときに活動が強まる部位です。対照的に、目の手術ビデオを見る(=強い情動が起きる)と前頭前野背外側部の血流が落ちたそうです。この部位は認知的な活動によって活性化します。
  10. [寺, 2007] より。はっきり/ぼんやりという表現、およびそれぞれの軸をイメージする記号( (^_^)、(>_<)、!、… )は著者が追加しました。
  11. [ダマシオ, 2005] より。
  12. [ゼックミスタ ジョンソン, 1997] より。
  13. [サロベイ カルーソ, 2004] では、4つの感情能力をひとつずつ考えて理想の行動を描くプロセスを「感情の青写真」と呼んでいます。
  14. [EQジャパン, 2002] より。
  15. たとえば (Mayer, Salovey, & Caruso, Emotional Intelligence: Theory, Findings, and Implications, 2004) を読めば、EI理論で提唱しているEQは「高くしたい」と思っただけで高くなる類の指数でないのは明らかです。
  16. [コルヴァン, 2010] より。このリストは“「究極の鍛錬」の特徴” – *ListFreak (http://listfreak.com/list/1715)にも掲載しています。
  17. 考えに筋を通すための、4つの問いかけ – *ListFreak (http://listfreak.com/list/1525)
  18. (Stanford University, 2005) より。
  19. [ダマシオ, デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳, 2010] より。この本は2000年に『生存する脳』(講談社)というタイトルで訳出されていますが、引用部は「新版へのまえがき」に含まれていますので、2000年版にはありません。