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Solvent for セールス

セールスのフレームワーク例 (SPIN)
図1: Solvent for セールスの例 (SPIN)

セールスプロセスは “How” に偏りがち

X社では、セールストークにおけるキーワードとして BANT が重視されていました。BANT は有力な見込み顧客(リード)を見極めるための、よく知られた枠組みです。

  • Budget(予算): 解決策によって生み出される価値がコストを上回り、コストが予算内であること
  • Authority(決裁権): 予算を管理する責任者が予算基準を了承していること
  • Need(必要性): リードの達成目標、あるいは解決すべき課題が存在していること
  • Timing(導入時期): リードが問題を解決すべき明確な時期を定めること
マーク・ロベルジュ 『アクセル デジタル時代の営業 最強の教科書』(2017年、祥伝社)
見込み顧客を絞り込む指標(BANT) – *ListFreak

4要素は大まかに以下の2つの論点にまとめられます。

  • 購入を検討する理由はあるか? (N)
  • 購入できる状態にあるか? (B, A, T)

Need(必要性)がなければ他の要素を確認してもしかたがないので、X 社でもNeed の把握は重視されていました。

しかし Need を把握するには何を聞けばよいのでしょうか。セールスは顧客の問題解決と捉えられますから、BANTを Solvent for 問題解決の4マスに整理してみると次のようになります。

図2: BANT

もしリードが

  • 業務上の目標は何か?(なぜその目標なのか?)
  • 現状をどう評価しているのか?
  • 目標と現状とのギャップの原因をどう捉えているのか?
  • 問題構造を踏まえて、どのような課題を設定するか?

といった一連の問いに答えを出したうえで話を聞けるのであれば、リードの課題を聞いて、自社商品が解決策としてマッチするかどうかを判断すればよいわけです。

ただ実際問題、そのようなケースはまれです。特に複雑な商品においては、リードと共に問題解決のストーリーを練り上げる必要があります。

顧客の問題解決を支援する

より複雑な商材のセールスを念頭に置いた枠組みに SPIN[1] があります。

  • Situation Questions / 状況質問: 顧客を理解する(顧客の現状を把握する)
  • Problem Questions / 問題質問: 潜在ニーズを明確化する(顧客に問題に気づかせる)
  • Implication Questions / 示唆質問: 問題の重要性を認識させる(このまま放置することの影響、他に与える影響など、問題の大きさを認識させる)
  • Need-Payoff Questions / 解決質問: ニーズを自覚するようになる(ニーズの顕在化)(理想のあるべき状態をイメージさせる、または、あるべき状態を提案する)
ニール ラッカム『SPIN式販売戦略―売り上げが驚くほど伸びる』 (ダイヤモンド社、1995年)他
質問によるセールスのステップ(SPIN) – *ListFreak

一見すると何を聞いているのかわかりづらいかもしれませんが、4マスに当てはめてみると BANT との違いは明瞭です。SPIN のほうがより幅広く、顧客の問題解決に沿ったヒアリングができることがわかります。

セールスのフレームワーク例 (SPIN)
図1: SPIN(再掲)

ここで述べたいのは、BANT より SPIN が良いということではありません。フレームワークを知らなくても顧客の問題解決は支援できるし、専門ツールを学ぶにしてもその位置づけを理解しておくことでツールが本来ねらっている効果を享受できるということです。

[1] “SPIN Selling” は米国ハスウェイト社の登録商標です